県営鉄道2090系

基本性能

  • 編成:2190(Mc)+2290(Mc')
  • 車体
    • 第1編成:アルミ合金
    • 第2編成:ステンレス
    • 第3編成:セミステンレス
  • 台車:空気バネ(Sミンデン)
  • モータ出力:150kW×4/両
  • ギア比
    • 第1編成:6.53→5.6
    • 第2・3編成:5.6
  • 駆動方式:中空軸並行カルダン
  • 制御器
    • 第1編成:電機子チョッパ制御(1C8M)→AVFチョッパ制御
    • 第2・3編成:AVFチョッパ制御(1C8M)
  • ブレーキ方式
    • 第1編成:電磁直通ブレーキ(HSC-R)→電気指令式ブレーキ
    • 第2・3編成:電気指令式ブレーキ
  • 起動加速度:3.5 - 4.0km/h/s
    • ※2M1T時に3.3km/h/sに対応
  • 減速度
    • 常用3.5km/h/s
    • 非常4.5km/h/s
  • 最高速度
    • 第1編成:100km/h→110km/h(設計)
    • 第2・3編成:110km/h(設計)

概要

各種試験を目的として1975年に製造された車両。第1編成では県営鉄道初の電機子チョッパ制御が採用された。

当初は試験走行のみで営業運転には用いられなかったが、1979年に長沼線が開業すると、同線用の区間列車として運行を開始した。また、これに合わせて2両編成2本が増備されたが、こちらは若干仕様が変わった。

1980年には、2090系の試験結果を反映した3000系が登場した。また1982年には長沼線の輸送力増強に伴い3連の3030系が登場。これに合わせて2090系は3030系に編入され、2090系は形式消滅した。

仕様の変遷

2090系は試作車のため、時期・編成等によって仕様が異なる。

第1編成・登場時

県営鉄道でチョッパ制御の車両を導入する際、「営団6000系をベースとした車両で良いのではないか」という意見があり、ほぼそれに沿った仕様となっている。

曰く、ギア比は6.53、モーター出力は150kW(営団6000系は145kW)となったが、この構成だと回生ブレーキが低速域の領域(ブレーキ初速55km/h程度)でないと回生ブレーキが使用できないという問題があった。当時県営鉄道では快速運転の検討が行われており、高速域からでもしっかり回生ブレーキを使える車両にしたかったようである(というより、そもそもギア比6.53では高速域まで加速するのも厳しかったと思われる)。

また、2000系との互換性を考慮してブレーキ方式を電磁直通ブレーキとしていた。しかし、電磁直通ブレーキでは、回生ブレーキがすっぽ抜けると空制に切り替わるまでの数秒空走する問題があった。

第1編成・1次改良

この問題点を解決すべく、ギア比を5.6に変更し、高速性能の向上が行われた。また抵抗を挿入することで、発生する電圧を適正な数値に落とし、回生ブレーキの効率を向上させる試みも行われた。ブレーキ方式では空走時間の短い(0.5秒)電気指令式ブレーキに変更された。

第1編成・2次改良

2次改良では方式を変更し、AVFチョッパに変更された。AVFチョッパは、界磁の分割や回路の工夫で、チョッパで界磁の制御も行う方式である。これにより界磁抵抗が不要となった他、界磁制御により高速域からの回生ブレーキが改善されるなどのメリットもあった。

県営鉄道ではこれをチョッパ制御の決定版と位置付け、3030系までこの方式での増備を続けることになる。

第2・3編成

長沼線の開業により、この区間の車両として2090系を増備することになった。とはいえ試作車を増備(量産)するというのもおかしな話で、あくまで「試作」という建前で新造を行うことになった。とはいえ、足回り側で試作が必要な部分はほぼなかったため、車体側で試作を行うことになった。

第2編成ではオールステンレス車体、第3編成ではセミステンレス車体が採用され、アルミ合金車体で新造された第1編成との比較が行われた。

アルミ合金車体は鉄粉付着等による電食に弱く、しっかり洗車するか、塗装等で車体表面を保護する必要がある。2090系第1編成においては、クリアラッカーを塗布していたが、ステンレス車体ではそのような対策は不要であるので無塗装で登場した。このような塗装の有無が、取り扱いにどの程度影響を与えるか見極める必要があったのである。

もっとも、当時ステンレス車体は特許の関係で東急車輛でしか製造できず、公営ゆえに特定の会社でしか使用できない技術を採用するのは困難であった。また、アルミの塗装問題も後に洗車で対応する方針に切り替わり、事実上の量産車となる3000系ではアルミ合金車体が採用されることになる。

運用の変遷

登場時(1975年)

2両編成が登場し、様々な実車試験が実施された。

前述した機器を取り替えながらの試験の他、誘導障害の影響、2000系併結試験等も実施された。

長沼線開業時(1979年)

1979年には車両基地への回送線を流用し、長沼線が開業。長沼線は起終点含め2駅と小規模で、かつ当時は開発前であったことから、2両編成の2090系が充当された。

3030系編入へ(1982年)

1982年には3030系が登場。これに併せて3連化を行い、同時に3030系に編入されることになった。3両化は2090系のMM'ユニットの中間に付随車を連結する方式で行われた。


  • 最終更新:2019-06-23 19:10:01

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