千葉高速鉄道5000系
未完成
基本性能
- 編成:10連、6連、4連
- 車体:軽量ステンレス車体(ビードレス、2800mm?)
- 台車:ボルスタレス台車(軸梁式)
- モータ出力:95kW(かご形三相モーター)×4/両
- ギア比:7.07(TD駆動)
- 制御器:VVVFインバータ制御(1C4M)
- ブレーキ方式:電気指令式ブレーキ
- 起動加速度:2.5km/h/s
- 減速度:3.5km/h/s(常用) 4.5km/h/s(非常)
- 最高速度:110km/h(営業) 120km/h(設計)
概要
5000系は2003年に登場した車両。千葉高速鉄道となってから初めて新造された形式であり、4000系以来のアコモデーションを見直し、都心直通を見据えた設計となるなど、新時代にふさわしい車両となった。
その一方で5000系はJRのE231系がベースで、いわゆる「標準車両」であることから、一部のマニアには「県営鉄道時代の独自性が失われた」として「つまらない車両」と評されることもある。
登場の経緯
周辺環境の変化
2000年代に入り、県営鉄道を取り巻く環境が変化した。
一つ目は都心乗り入れに向けた準備が開始されたことである。これまで県内では営団東西線の開業、国鉄総武線の複々線化、都営新宿線の開業などといった輸送力増強が進められてきた。しかし、2000年代当時の段階でも依然として混雑率が高い水準にあった。これを解決すべく、京葉線の複々線化及び同区間への県営鉄道線乗り入れが答申され、2015年頃を目標に実現へ進めることになった。
二つ目は県営鉄道の第三セクター化である。これは、県が関与(出資)している鉄道として東葉高速や北総鉄道などがあるが、これら鉄道事業者への平等化を図る狙いがあったとされる。また第三セクター化により、公営では難しかったことも、第三セクター化によりサービス向上を実現させていく狙いもあった。第三セクター化は2002年に実施され、名称は「千葉高速鉄道」となった。
都心直通に備えた車両設計の変更
県営鉄道では、1998年に初のVVVF量産車となる4030系が登場したが、4030系は4000系をベースとした急造の電車であり、時代に即した車両ではなかった。
折しも都心乗り入れに向けて設計変更が求められており、都心乗り入れ対応車の導入に併せて、車両設計も一新していくことになった。
仕様
編成・形式
従来の付番方式では、M車が100番台、M'車が200番台、Tc車が500番台、T車が600番台となっていた。都心直通にあたっては10両編成で乗り入れる方針であったが、このルールに沿って付番すると、編成中の番号が複雑化するおそれがあった。
そこで、一部私鉄等で用いられる号車≒形式となるような形式が採用された。千葉高速鉄道の主な乗り入れ先は京葉線、りんかい線、有楽町線となることが想定されたが、いずれの路線でも東京側(和光市・大崎方面)が1号車、千葉側(新木場・蘇我方面)が10号車となっていた。
これに従えば、東京側から5100形、5200形、……、5000形となる。しかし、JR線内における奇数・偶数向きに従うことになり、号車順と形式順は逆転した5000形、5900形、5800形、……、5100形となった。
形式 | 号車 | 10両組成時 | 6両組成時 | 4両組成時 |
5000形(Tc2) | 1号車 | ● | ● | ● |
5900形(M2) | 2号車 | ● | ||
5800形(M1) | 3号車 | ● | ||
5700形(T1) | 4号車 | ● | ||
5600形(M3) | 5号車 | ● | ● | |
5500形(T1) | 6号車 | ● | ● | |
5400形(M2) | 7号車 | ● | ● | ● |
5300形(M1) | 8号車 | ● | ● | ● |
5200形(T1) | 9号車 | ● | ||
5100形(Tc1) | 10号車 | ● | ● | ● |
(↓五井・四街道方面) |
当時の京葉線は他路線のお古をかき集めたような構成であり、2003年当時では「京葉線向けに投入された新型車両」は存在せず、ラインナップも103系、201系、205系であった(E331系は2007年、209系は2008年投入)。とはいえ決めない訳にもいかないので、当時のJR最新鋭車両はE231系であったことから、E231系三鷹車をベースとした編成となった。5000系は5M5Tのため5号車に1M車(M3)が連結されているが、これをT車に置き換えると、三鷹のE231系三鷹車の4M6T編成になるという訳である。
なお、5000形投入時の千葉高速鉄道線内は6両までしか対応していなかった。そのため、10両固定で導入する訳にはいかず、1号車+5号車+6号車+7号車+8号車+10号車の6両で暫定編成を組むことになった。
車体
都心乗り入れでは、JR系の京葉線・りんかい線と営団系の有楽町線に乗り入れることが想定された。前者の路線では輸送力を最大限に高めた2950mmの広幅車両とすることが求められたが、車両限界改良に時間が必要であったので、5000系導入の段階では見送られた(もっとも2002年当時の京葉線は、183系以外狭幅の2800mm車であった。)。一方後者では車両限界の関係から2800mm以内に収める必要があり、狭幅の車両も必要であった。そのため、狭幅で造っておいても有楽町線乗り入れで使えるとして、5000系は狭幅仕様となった
扉数はオーソドックスな4ドアであり、E231系のように6ドア車は連結されていない。
冷房装置
5000系では、前期車(2005年までの新造車)ではAU725を、後期車(2007年以降の新造車)では能力向上形のAU726を採用した(いずれも基本的な設計はJRと同一)。外観上での大きな違いはファンの搭載数で、前期車ではコストを重視し1基搭載であったが、後期車では従来の2基搭載に戻る形となった。
冷房装置の原理をかみ砕いて説明すると、室内機で冷風を吹き出す分(熱を吸収した分)だけ、室外機で熱を吐いている(より正確には圧縮機で冷媒を圧縮した分の熱量も含む)。したがって、ファンの搭載数を増やせば、それだけ熱を吐けるので性能も向上することになる。
また暖房時には、逆に熱を室内側に吐いて、室外機から外気の熱を吸収する訳だが、当然冬の寒い環境では熱量が少ないので、気温が低いと効率が落ちてしまう。そのため、後期形では冷房装置内に補助ヒーターを設置し、暖房時等の補助としている。
この他、後期形では、熱交換器の取り付け角度を変更し、屋根に付いたままの状態でも熱交換器の洗浄が可能となった。これにより、クレーンで吊って降ろす必要がなくなるなど、メンテナンス性の向上に寄与している。
走行装置
5000系設計にあたっては、乗り入れ先の仕様に合わせるべくE231系をベースとした。
ギア比は7.07。ここに5800rpmのMT73を組み合わせることで120km/h運転を実現した。かなり加速に振ったギア比であるが、インダクションモーターの構造を生かして高回転まで回すことで、加速性能と高速性能の両立を図っている。ただし、その代償としてとにかくうるさい。また高いギア比は空転を誘発しやすいデメリットもある。
編成は5M5Tとされた。当初は4M6Tや6M4T等も検討されたが、前者は地下鉄乗り入れ時の性能不足が懸念され、後者はやや高価かつ性能過剰と判断され、両者の間を取った5M5T編成とされた。これに伴い、E231系にはない1M車が追加されている。
運用の変遷
運用の変遷
登場時(2003~2005年)
2003年から2005年にかけては、2000系の置き換えを目的として、6連6本が新造された。
2000系は、消費電力が大きいという問題もさることながら、加速度や最高速度を上げられない問題があった。当時の千葉高速鉄道では、速達列車の所要時間短縮のため最高速度向上を、各駅停車では速達列車から逃げ切るため加速度向上を目論んでいたが、2000系はそのどちらにも対応できなかった。
また10年後を目標に都心直通が準備されており、2000系をVVVF化などで対応させる案もあったが。しかし、都心直通が行われる頃には2000系の寿命が来てしまい、投資が無意味となってしまうことから、新車に置き換えた方が良いと判断され、5000系が新造されることになった。
八街延伸時(2007年)
2007年には八街まで延伸され、6連1本が新造された。
かなり少ない両数だが、延伸区間は9分程度の所要時間で、本数も20分間隔のためである。当初は2連仕様の区間運行用のワンマン列車を新造することも検討されたが、短区間で長編成の電車を走らせても所要数が増えないこと、地元からの直通列車設定の要望などもあり、5000系が新造された。
3050系置き換え(2008~2009年)
2008年から2009年にかけては、3050系の置き換えを目的として、6連5本が新造された。なお、置き換えられた3050系は廃車とならず、2010年以降の10連運転開始に備えて保留車となった。
最後の新造と10両化(2010年)
2010年には10連化のため、5000系12両が新造された。この5000系は全て中間車で新造されており、ラストナンバーから3編成に4両ずつ組み込まれた(6連3本+12両→10連3本)。ラストナンバーから3編成に組み込まれた理由は、ラストナンバーから3編成は2009年に新造されており、編成内での新造時期を可能な限り揃えるためである。
また、編成同士での組み替えての10両化も行われた。具体的には5005~5105と5006~5106から12両を供出し、5007~5107、5008~5108、5009~5109の3編成に4両ずつ組み込み10両化した(6連5本→10連3本)。
結果、5000系は10連6本と6連4本の体制となった。
- 組成状況(2010年)
- 5001~5101:6連
- 5002~5102:6連
- 5003~5103:6連
- 5004~5104:6連
- 5005~5105:欠番
- 5006~5106:欠番
- 5007~5107:10連(組替)
- 5008~5108:10連(組替)
- 5009~5109:10連(組替)
- 5010~5110:10連(中間車新造)
- 5011~5111:10連(中間車新造)
- 5012~5112:10連(中間車新造)
なお、2010年をもって5000系の新造は終了。以降は広幅車である6000系の新造に移行したことに加えて、地下鉄向けの狭幅用形式も7000系に移行した。
都心乗り入れ以降(2019年)
(以下未完成)
資料
編成表
- 最終更新:2019-07-13 14:33:56